単独飛行所見
平成13年12月27日 初めての単独飛行の日となった。
この日はまず教官同乗の下で場周を数回飛行して最終的なチェックを受けたあとに単独飛行が実地される予定だった。
移動開始
スポットから離陸しホバリングに移行したときやはり左右に3回ほど揺られた。正直、今日は無理かと思った。
前日の夜、ホバリングが安定しなければ単独飛行の延期を教官に申し出ようと真剣に考えていた。それだけホバリングと接地操作に不安があった。
谷澤教官と共にセンタースポットRWY36から離陸しすぐに右へ旋回を開始、サウススポットへ向かった。サウススポットに着くと教官からホバリングによる一連の操作の指示があった。地面が草地の関係からか接地と離陸の感触はそこそこよかった。2回のTGLでも意外と冷静な自分に今日はイケると思った。
教官とのTGLが終了し一旦サウススポットに接地した。 教官から機体から離れるとき2.3アドバイスをもらったが右から左だった。操縦練習を開始した当初よく教官から言われていた。
機体前方を3人の教官に囲まれていよいよ単独飛行開始となった。
無線による青山教官の指示でホバリングを開始した。
バランスウェイトの程度がわからなかったが取りあえず今まで通りのサイクリック位置でコレクティブピッチを徐々に上げていった。
いつも通りに機体が浮きはじめ違和感はまったくなかった。
バランスウェイトは完璧。前日に試行錯誤してくれた教官たちのおかげだった。
左右のホバリング旋回を行ったのち離陸の指示があった。
ホバリング中にスポットから徐々に前に出てきてしまっていた。
記念すべき最初の単独飛行。
戻ってスポットの真ん中から離陸したかったが無理はしなかった。
「下妻FS・・・ソロA7962・・・」 機体番号を間違わずに送信できた。 間違わないために右手親指に輪ゴムをはめていた。小学生レベルだがこれのおかげだ。
計器はMAPを中心にチェックした。オーバーマップはやはりコワイ。
サイクリックをジワーッと前に出すと機体が前進し始めた。
いつもの転移揚力による振動は感じられなかった。理由はわからない。
でも機体はいつも通りの加速をつけて上昇した。再度MAPを中心に計器のチェックに努めた。
単独飛行を実感したのは第一旋回でのレフト確認のときだった。「教官がいない・・ソロだぁ・・」 不安は一瞬だった。たった一人で見る好天下の景色のすばらしさになんとも言えない感情が湧いてきた。
ダウンウィンドに入り計器チェックをしていると、いくつかのトラフィック情報が無線機で入ってきた。緊張が走った。
すぐあたりを探したが結局確認できたのは1機のみだった。
おまけに諸元は乱れFSとの交信時期も遅れた。
ただ一応他のトラフィックにも自機の位置を認識してもらおうと交信はした。
着陸
「下妻FS・・・ON LEFT DOWNWIND RWY36」 ダウンウィンドからベースへ減速降下しながら左旋回を行った。
そしていよいよベースからファイナルへの降下進入を開始。 高度が少し低すぎた。祝橋の上空で約1000ftがベスト。計器は900ft近くを指示していた。
原因は第4回旋のタイミングと左旋回特性の修正に気を取られすぎたからだった。ただ幸いにも降下率が減少していたのでそのまま祝橋上空まで高度をひっぱった。パス角は前日くらいからなんとなくつかんでいた。 そして今日もこれに乗れたと思った。アプローチ中に軸線から右に流れる癖があったのでスポットを凝視し必死になって軸線とパス角の維持に努めた。 計器チェックも「速度高度・速度高度・・」と呟きながら行った。
スポットが近づいてきた。「あと少し落ち着け」とも呟いた。
無線機から青山教官の声が入ってきた。「気持ち速度を落とす」やはり気持ちが心なしか逸っていたのかもしれない。
「ドドドドドッ・・・」 アプローチ末期の独特な振動が音と共に体に感じた。スポット上でホバリング移行。一応スポットの真上だった。また無線機から青山教官の声が入ってきた。「上出来」 お世辞だとしてもこの言葉は本当にうれしかった。
その後2回場周をまわった。サイクリックを持つ右腕はもう攣りそうだった。
サウスから再び谷澤教官と共にセンタースポットに戻るとFS前で教官と他の生徒全員が到着を待っていてくれた。感激した。
最後に
日々の飛行訓練では反省することばかりで、自分は本当に上達していっているのかと不安になることがしばしばあった。でも今日単独飛行を終了してみて思うことはたくさんの反省があったからこそ、その都度何とかしようと試行錯誤してきたことが少しずつではあるけれど上達に結びついていることに気がついた。これからの訓練は今までとは比較にならないくらい大変なものになるとは思うけれど ひとつひとつ克服して行こうと思う。

|